2016年06月23日

【映画レビュー】帰ってきたヒトラー

一カ月放置目前ですが、あまりにもネタが無いので昨日見た映画「帰ってきたヒトラー(原題:Er ist wieder da 英訳すると"He is back")」の紹介でも。
一部内容構成などには触れますが、ネタバレは無しです。

【映画レビュー】帰ってきたヒトラー
image from http://www.cinemacafe.net

公式サイト
http://gaga.ne.jp/hitlerisback/

トレーラー


映画の質としては、メジャータイトルには遠く及ばないインディーズ的な作品でした。
しかしその内容はコメディーという体裁をとった政治的メッセージとブラックジョークの塊で、なかなかおもしろかったです。

前半は「現代ドイツの街頭で、ヒトラーの姿を真似た芸人が現れたときの市民の反応」を集めた一種のドキュメンタリー風になっています。
触れこみによれば、これらのシーンは合計数百時間にも及ぶロケでヒトラー役者が実際に市民と接する様子を編集したものだそうです。
もちろん一部は仕込みや意図的な編集もおこなわれていると思いますが、それでも戦後70年という歳月がドイツ国民にもたらした意識の変化というものを垣間見ることができるように思います。
ただ、市民インタビュー自体は興味深かったものの、映画としてのストーリー進行上の描写は率直に言ってお粗末で観るのが苦痛でした。これをさらに後半一時間見るのはちょっとツライなぁ…と感じるほど。

しかし、その後半一時間は良い意味で予想を裏切ってくれました。
ネット上で話題になったことでテレビ出演、本の執筆、そして映画撮影。これらのメディアを使い、1930年代の社会問題をそのまま現代に置き換えて演説する様子はなかなかに不気味でした。
そしてラスト30分の展開は、ヒトラーがヒトラーとして歴史に名を残すことになった所以をうまく凝縮しているように思いました。

個人的な感想としては、ヒトラー本人が現代によみがえるという「絶対にあり得ないこと」を描いているので、これは「笑える話」なんだと思います。
しかし、この「笑える話」によってあぶり出される現代ドイツの現状はとても笑えないですし、それがヒトラーに似た何者かを生み出す可能性を秘めているという警鐘は、決して見過ごせないポイントなんだと思います。

この映画は、北海道では唯一すすきののスガイディノスで上映されています。
時折挟まれるパロディやギャグにニヤリとすることも出来ますし(若干スベリ気味なのもありますが)、気になる方はぜひどうぞ~





Posted by わいと  at 00:11 │Comments(2)本・映画・アニメetc

この記事へのコメント
私も見てきました。
この作品を見に行く前に"ヒトラー最後の12日間"をざっと見ておいた方が捗ります。
色んな意味でw
なにしろヒトラー視点で昨日までのお話なわけで。
皮肉のきつさとオチの怖さがなんとも…
見た価値はありました。
それとパンフがドイツの選挙制度や政党がまとめてあり、事情がわかり助かります。
Posted by 都内在住 at 2016年06月23日 00:30
> 都内在住 さま
コメントありがとうございます。
なるほど、たしかに言われてみれば「12日間」が前日譚ってことになるわけですね。ますます見返したくなりました!
現代ドイツ軍装備をやってることもあって、戦後ドイツの政治の流れはなんとなく理解してるつもりですが、劇中であんなにバッサリ要約されちゃうとは思いませんでした…w
パンフは買いそびれてしまいましたが、改めてウィキを覗いてみようかと思います。
Posted by わいとわいと at 2016年06月23日 00:43
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わいと
わいと
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